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7月28日午前2時
題名;窓
投稿者;A子
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当時、私はワンルームアパートの二階で一人暮らしをしていました。
窓はベランダに繋がる部分を除いて一か所、キッチン近くに換気口程の小さな物があるだけでしたが元々女性の一人暮らしでは防犯の方が心配なので特に不満はありませんでした。窓の位置が良かったのか空気が籠る事は無く、一日閉めっきりにしていても十分あれば換気が済む位でした。
その日はとても暑い日で、普段から冷房を使わない様にしている私でも辛く感じる一日でした。特に夜は湿度が高く扇風機の風では太刀打ち出来ない程です。けれども私は通勤に電車を使っていて、帰宅が十時頃でしたから長時間冷房に晒されていました。体が冷えていたので暫くはベランダと窓を開けるだけで風呂に入ったりテレビを見たりして過ごしていたのですが私は疲れていた事もあり、ついそのままうたた寝をしてしまいました。
夜中の三時頃だったでしょうか。ふと私は目が覚めると窓が開けっ放しだった事を思い出したのです。幾ら二階だと言っても流石に不用心でしょう、体温が上がって寝苦しくなってもなっていました。少し面倒臭く思いながらも私はベランダの窓を閉め、トイレに行くついでとキッチンの窓の所に立ちました。
キッチンの窓には何の異常もありませんでした。丁度私の顔の位置と窓にしては少し高い所についていましたし私の肩幅も無い位の小ささなのです。私は窓を閉めました。面倒臭さからいつもより乱暴に、ピシャンと。

ボトン、と何かが落ちて来たのは窓が閉まり切るのと同時でした。


窓には何の異常も無かった筈でした。
例えばそこに誰かが居たなら、目に入らない事はありません。
実際に、何も無かったのです。






誰のとも知れぬ「手」が落ちて来た事以外は、何も。


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8月3日午後11時
題名;リュックサック男
投稿者;○出
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殺人的通勤ラッシュで有名な路線上の、開かずの踏切。
そこにはリュックサックを背負った男が現れる。
見た目は平凡で目立たないが、リュックサックだけが印象に残るらしい。
男のリュックサックが膨らんでいる時は出来るだけ、何気無く、男から距離を取った方が良い。

その日は必ず路線上で、人身事故が起きている筈だ。
つまり、そのリュックサックの中にはとんでもない物が入っていると言う事だ。


もしその中身に気付いてしまって、そして気付いてしまった事に気付かれてしまったなら。

少なくとも一週間は電車に乗らない方が良いだろう。


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7月30日午前10時
題名;恋人の話
投稿者;イツナオ
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家の近所で実際に起きた事件だそうです。
私の住んでいる地域は都会に近く月割りマンションやアパートが数あるにしては、落ち着いた環境なので新婚さんや結婚間近といった感じのカップルが多く住んでいます。
そんなカップルの中でも近所で有名だったのが、カナさんとユウさんでした。カナさんとユウさんはとても仲が良くて、駅に向かって二人で歩いているのを私の親戚も見た事があるそうです。カナさんとユウさんは若く、高校を出た位の年の様に見えたそうです。二人の所へ友達や親が訪ねて来たという話は全く無く、もしかしたら駆け落ちでもしたのでは…というのが近所の評判でした。実際カナさんは料理が得意では無かったらしく、スーパーで買い物をするのにわざわざレシピを持ち歩いている姿が見られたそうですから身分違いか何かで反対されていたのかもしれません。
まるでドラマの様な二人でしたが、ある日を境にカナさんの姿を見なくなりました。
ユウさんが一人でアパートに戻って行く姿は近くの人が見ていたそうですが、それ以降ユウさんの姿も見えなくなりました。もしかしたら仲が上手くいかなくなってしまったのか…そんな噂がチラチラと聞こえ出した頃に、アパートの大家さんの所へ一人の男性が訪れたそうです。男性は大家さんを連れてユウさん達の部屋へ行き合鍵で部屋の中に入って行くと揉める様な物音が聞こえていたそうですが、暫くすると中からユウさんを連れ出してしまいました。その時のユウさんはとても荒れた格好で、何故かお皿とスプーンを持っていたそうです。ユウさんと男性が居なくなると、変な顔色をした大家さんが部屋から飛び出て来てどんどん警察がアパート周辺に集まり、物々しい様子になりました。

その後大分してから真相は明らかになりました。
カナさんの姿が見えなくなった日、カナさんは交通事故に遭って亡くなっていました。ユウさんはカナさんの遺体を受け取ると葬儀も出さずにあのアパートに連れ帰って暫く「二人きり」で生活していたそうですが、とうとう悲しみに耐え切れなくなりカナさんの遺体を刻んで、煮込んで、食べてしまったのです。ユウさんを連れ出した男性はユウさんの父親で息子の様子がおかしい事に気付いてやってきたのだそうです。
少しずつスープにされていったカナさんの体には既に手と足が無かったそうです。ユウさんの部屋の冷蔵庫は空っぽで、ユウさんはカナさんが亡くなってからはずっと家に居たそうですから、ユウさんはカナさんだけを食べて暫くの間生活していた事になります。言い換えるとカナさんによってユウさんは生かされていたのです。

怖い話にも聞こえますが、少しロマンチックでもありますよね。私の住んでいる地域ではカナさんとユウさんの話が都市伝説として伝わっていて、二人が住んでいたアパートの部屋に恋人同士で住むと永遠の愛が手に入ると言われています。

ところで、料理が下手なカナさん。唯一得意だったレシピは「シチュー」だったそうです。


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8月9日午後1時
題名;夢の本
投稿者;I
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図書館の児童書コーナーには「夢の本」という本が必ずあるのだそうです。
それは一般的な本では無く、所謂都市伝説的な物で、大人には絶対に見る事が出来ません。子供だけが見える本です。
煩かった子供がいきなり静かになったり、逆に笑い出したりしたら、恐らくその子が夢の本を読んでいます。
夢の本は口で説明出来ない程に面白い本だそうで、この本を見つけ、読む事が出来た子供はどんな子供でも確実に読書家になります。

ですが、大人は見る事が出来ません。元々見つける事は出来ないのですから。もしも、子供が夢の本を読んでいるのを見つけたとしても覗き込む事はしない方が良いでしょう。
見た所で読めはしませんし、そのまま本に吸い込まれて消えてしまいますから。


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8月22日午後5時
題名;病院の妖精
投稿者;K院勤務
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私はKという病院に勤めています。
病院に有りがちな怪談話がK院にもありまして、それは重い病気や怪我で悲しくも命を落としてしまった人達の霊が妖精になって病院に住み付いているという、どちらかと言えば優しいお話でした。妖精達は病気の人からほんの少しだけ苦痛を取り除いてあげたり、普通の人間では気付けない様な事を知らせてくれたり、特に子供は妖精達の手助けが多くあるようで、無邪気な子にはその姿を見せる時もあるそうです。K院では付き添いの無い夜や精神的に不安定な時に妖精の話をして子供を慰めたりもしています。
これだけでしたらただの良い話なのですが、妖精と言うのは冗談では済まされない悪戯をする時もあるそうです。
K院の妖精も密かにそういう面を持っていて、もしも人を傷つけてしまった人がK院に入院したのなら恐ろしい想いをする事でしょう。
そしてその後にはとても辛い目にあって最後には命を無くしてしまうのです。


今、私はこれを病院のベッドの上で投稿しています。
私は数週間前に医療ミスを起こしてしまい、患者さんを大変な目に合わせてしまったのです。幸い患者さんは一命を取り留めましたが恐ろしくてミスの事は誰にも言えませんでした。ミス自体も一見すれば不慮の事故の様に見えましたから私を疑う人も居なかったのです。
けれども妖精達は私のやった事を知っているようで、勤務中に私は突然病に襲われ、そのままK院に入院する事になってしまいました。
一日目は体中を痛みが襲い、寝る事も出来ませんでした。
昨日は苦痛のあまりベッドから落ちてしまったと言うのにナースコールが鳴らず、緊急オペ等のドタバタで誰の助けも無く寂しい個室で長時間床に這い蹲っていました。
そして今日。私は明日の太陽を見る事も無く死んでしまうのでしょう。


もしもこれを見ている方の中に悪い事をした人が居たら、罪は償っておいた方が良いです。
K院に限らず、妖精達は貴方のした事を知っています。

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8月23日午前5時
題名;行ってはいけない
投稿者;93号
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世の中には行ってはいけない場所という物があるそうだ。
科学が発達した現在、多くの事が解明されつつある。しかしそれでも理解しきれない物はある。例えば宇宙にあるブラックホールの様に原理は説明されていても人間の身の方が追いつかないもの等、そういう場所ではどれだけ努力をしようとも関われば大変な目に遭うという。
しかしそれを理解してもそういう場所というのは何となく、自分達からは無縁のものだと思い込みがちだが決してそんな事は無い。

俺の知っている「行ってはいけない場所」は、実は誰もが利用するデパートや百貨店の中にある。そこが何処にあるかはその店に因るから具体的に指す事は出来ない。だがもし、店の中で妙に人気が無く、飾られている植物が項垂れている様に見える場所があったら、そこが「行ってはいけない場所」だ。近付いてみればきっと落ち着か無い気持ちになるから分かるだろう。

その場所に三分以上留まっていると、人間の世界に入れてもらえなくなってしまうそうだ。


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8月24日午後2時
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※この記事は削除されました
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8月25日午後2時
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※この記事は削除されました
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8月25日午後2時
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※この記事は削除されました
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8月31日午後10時
題名;一番怖い話
投稿者;alice
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何よりも怖い話。
私が投稿している日付。




これが怖くない学生なんて居ないでしょ(笑)?

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