0・時は迫りて
さあさあ、時間が無い!
運命の日はすぐ其処だ
あっという間にやって来る
嘗ては彼等のホラー
今となっては我等のサスペンス
年々増える悲劇を前に
どうして座って居られるだろう?
さあさあ、時間が無い
決めるなら今だ!
「これ以上」を迎える前に
我等の平和を思い出せ
1・華々しき会議
「それでは、始めます」
緑灯りが妖しい薄暗がりで、彼等は会議の席に着く。
彼等も当たり前の太陽を好んでいたが、所詮彼等は彼等であって、真っ当な日差しの下に堂々集会を開けるものでは無いのだ。
不機嫌を露わにした顔、今にも泣き出しそうな顔、怒りでか赤らむ顔と集まった顔は様々な表情であったがそのどれもに共通していたのがピリピリとした緊張感と真剣さである。
彼等は皆、中央に座る鮮やかな彩色をした一本足の絡み合う双子を見つめている。
双子が中央に座したのは特別な地位有っての事では無い。元々彼等の中に大きな差は存在しない。
双子は毎年の惨劇で最も振り回される一族のものであった為に今回其処で進行役の様な立場となったのだ。
双子の内の透明な橙色が口を開いた。
「本来、我々は尊厳あるものとして存在すべきなのです」
「それが最近の風潮ときたら、全く眩暈を禁じ得ない」
「「そうでしょう、皆さん」」
不透明な白色が追って、双子独特のハーモニーを奏でる。
すると今度は地味で素朴な茶色の丸い体がのっそりと立ち上がり、象牙色の床を足で鳴らした。
「貴方方の言う通りだ」
丸い茶色の言葉に、甘い香りを放ちつるつると輝きを見せるフリルで着飾った四角い体と絞りの利いた可憐な小柄が頷いている。
「そうだ、そうだ」
「何よりも嘆かわしいのは、これだけ使役しておきながら、我等に対しての感謝が一欠片も感じられないと言う事だ」
黒にも近い、濡れた焦茶色がその艶めかしい体を震わせている。
周りに寄り添うもの達も、同じ様子で互いを慰めるように抱き合っている。
「人々は我等を様々な象徴に成り得ると言った!」
「いいや、今も言い続けている」
柔らかい体の雪色が叫ぶ。
「我々は愛だ!」
「豊かさだ」
「安定した精神の助力だ!」
「文化だ!」
「…進化の証だ」
「幸せの一つだ!」
「我等は、我等で在る為に、我等らしく在らなければならない」
「その為に、我等は立ち上がり、働き掛けなければならない」
「弱腰は許されない」
「革命だ」
「革命を求めよう」
「「本来は我等を愛する人々の目を覚ます為に、正しき行いを成さなければならない」」
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